研究概要 |
非家族性大腸癌117病巣(早期癌44、進行癌103)を対象にD2S123,D3S1029,D3S1611,TP53,Mfd26,Mfd36の6カ所のマーカーを用いてRERを解析した。次いで、非家族性単発大腸癌28症例を対照群に、異時性大腸多発発癌13症例のRERの陽性率を検出して比較した。統計学的解析はFisherの直接確率を用いた。結果(1)117病巣中27病巣(18%)がRERの陽性であった。(2)RER陽性27病巣の特徴は、(1)右側大腸癌58病巣中17病巣(29%)が、RER陽性てあったのに対し、左側大腸癌89病巣中10病巣(11%)がRER陽性と、右側大腸癌に有意にRERの頻度が高かった(p=0.008)。(2)早期癌44病巣中10病巣(23%)がRER陽性で、形態別の内訳は表面型癌5/l6(31%)、隆起型癌5/28(18%)と表面型癌にRERの頻度が高い傾向にあったが統計学的に有意差を認めなかった。そこでさらに右側大腸、左側大腸のそれぞれにおいて表面型癌と隆起型癌とのRERの陽性率を比較したところ、右側大腸では、表面型癌4/9(44%)、隆起型癌0/10(0%)と表面型癌に有意であった(13/39、33%vs.4/61、6%、p=0.0003)以外には、臨宋病理学的(組織型、深達度、脈管侵襲、リンパ節転移、リンパ球浸潤)に差を認めなかった。(3)異時性多発癌13例中6例(16%)、対照群28例中4例(14%)にRERが陽性で多発群に有意にRER陽性率が高かった(p=0.049)が、部位別に検討すると、右側大腸では多発群3/3(100%)、対照群4/9(44%)、左側大腸では多発群3/10(30%)、対照群0/19(0%)で左側大腸に限って多発群に有意にRER陽性率が高かった(p=0.03)。非家族性大腸癌のRER陽性例は右側に多く、早期癌では右側大腸表面型癌に多いという特徴がみられた。また、左側大腸癌ではRERの解析は異時性多発癌の余地に有用である可能性があるが、右側大腸癌では単発癌においてもRER陽性率が高く多発癌のマーカーとはなり難いと考えられた。
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