研究課題/領域番号 |
10671223
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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研究分担者 |
清水 教一 東邦大学, 医学部, 講師 (60256740)
辻田 和紀 東邦大学, 医学部, 助教授 (60130374)
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キーワード | ミスマッチ修復遺伝子 / hMLH1遺伝子 / 発現抑制 / 大腸癌 / 転写調節領域 / 転写因子 / reporter gene assay / gel shift assay |
研究概要 |
近年、多くのがん遺伝子やがん抑制遺伝子が同定され、これら遺伝子異常の累積が消化器癌、特に大腸癌の多段階発癌に重要な役割を演じていると考えられている。我々は遺伝子異常の蓄積を誘発する機構の1つとしてmismatch repair(MMR)systemの異常に注目し、MMR遺伝子の1つであるhMLH1遺伝子の転写調節機構に異常があることおよびその頻度がかなり高いことが予想される研究結果を得た。そこで本年度は昨年度に引き続きhMLH1タンパク発現抑制機構を明らかにする目的で以下の実験を行った。 (1)hMLH1遺伝子発現調節領域の特定 hMLH1遺伝子発現に必要な領域を特定化するために、上流域約-700から+100bpの範囲を含むDNA断片をPCRにて増幅した。これらのDNA断片をreporter plasmidに組み込み、大腸癌由来細胞株に導入し、reporter gene assayを行った。その結果、転写調節領域は-161から-80までに存在し、特に、-161から-151の間に重要領域が存在することが明らかとなった。また、細胞株により転写活性が大きく異なることも分かった。 (2)gel mobility shift assayによる結合領域の特定化と結合淡白の特異性 まず、-161から-81までの領域をPCRにて増幅し、32pで標識したprobeを作製し、大腸癌由来細胞株より調製した核抽出物を用いてgel mobility shift assayを行った。mobility shiftした3つの主要バンドが見出され、reporter gene assayで高活性細胞株由来のバンドと低活性細胞株由来のバンドではそのパターンに違いが見られた。予想されたことではあるが、分子量の異なる複数の因子の存在が示唆された。 (3)転写因子の精製と同定 30mucleotides程度のDNA断片を作製し、アフィニティーカラムにて精製を開始した。今後、同定を行い、既知因子との関係や発現抑制腫瘍における動態との関連を調べる予定である。
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