研究概要 |
これまでの研究でENNG(N-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine)により作製したイヌ実験胃癌に対するadenovirus vectorを用いたHSV-tk(herpes simplex virus thymidine kinase)/ganciclovir自殺遺伝子治療で、原発巣および胃所属リンパ節の広範な組織変性が惹起されることを報告した。本年度イヌ実験胃癌に対するadenovirus vectorを用いたHSV-tk/ganciclovir自殺遺伝子治療の副作用の検討をおこなった。In situ in vivoに内視鏡下、胃腫瘍に直接穿刺針でadenovirus vectorを注入した結果、lacZ marker gene投与では血液検査で全く肝障害、腎障害等を認めなかった。HSV-tk10^9 pfu投与後ganciclovir 100mg/kg3日間投与では中等度の肝障害(GOT,GPT 100-200IU/L)を認め、HSV-tk 10^<10>pfu投与後ganciclovir 100mg/kg4日間投与では高度肝障害(GOT,GPT1000-2000 IU/L)を認めた。いずれも腎障害は来さなかった。この結果より、高titerのadenovirus vectorを用いた胃癌自殺遺伝子治療では肝毒性の予防および治療が必要になることが明かとなった。
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