研究概要 |
自殺遺伝子HSV-TKをCAGプロモーターを有するアデノウイルスベクターで、MNNGで作製した雄ウイスターラット自家発生胃癌に直接(in situ)穿刺針で5X10^8pfu投与し、プロドラッグであるganciclovir 100mg/kg投与後の組織変化および体内でのHSV-TK遺伝子の推移を検討した。HSV-TK/ganciclovir群は投与開始3,8,30日に屠殺した。TUNEL法で検索したアポトーシスは、シャムオペレーション群に比し8日と30日で有意に亢進した(P<0.001)。組織学的な癌組織の変性、繊維化、壊死、アポトーシスは30日剖検群で有意に亢進していた(P<0.05)。末梢血でのHSV-TK遺伝子は、PCRおよびSouthern blot analysisの両法で投与30日まで検出された。この結果から(1)自殺遺伝子治療により、組織変性に先行してアポトーシスが起こる、(2)組織学的な治療効果の発現には30日を有する、(3)HSV-TK遺伝子は投与30日でも体内に存在することが明かとなった。これらの結果はヒト胃癌の遺伝子治療を行うにあたって、重要な所見と考えられ現在英文誌に投稿中である。
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