研究概要 |
1. 補助金を利用してNitric Oxide monitor(NO-501,Inter Medical co., ltd.)を購入して基礎実験を開始した。 2. 基礎実験として、初代培養肝細胞を用いて、サイトカイン刺激によるNitric Oxide(NO)生成を観察している。これは以前から当教室で検討しているNO生成系である。 3. 初代培養肝細胞でのNO産生はNO monitorを使用することにより約2時間観察された。この産生量はNOの代謝産物であるnitrite生成量と一致していた。しかしながら、2時間以降はNOがうまく測定されず、電極先端への肝細胞の付着によるものと考えられた。 4. ついで、切除後残肝でのNO産生について検討した。肝細胞のNO産生は亢進しており、サイトカイン刺激によるNO産生は著増した。増加したNOが肝細胞のエネルギー代謝にいかに影響を与えるかを検討した。NOが増加すればするほど、肝細胞中のATPは減少し、肝ミトコンドリアの酸化還元状態を反映するmedium中ケトン体比は低下を示す。この結果、肝切除後残肝細胞はサイトカイン・NOを介してエネルギー産生傷害を来しやすいことが示された。 5. 同様に、閉塞性黄疸ラットモデルを作成し、黄疸肝細胞のNO産生能を検討したところ、肝切除後残肝細胞と同様にNO産生が亢進していた。 6. 以上の結果から、肝に何らかの侵襲が加わると肝細胞のNO産生が亢進し、過剰のNOによる肝細胞障害の可能性が示された。
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