研究概要 |
1.ETS-1により血管内皮細胞に誘導される血管新生関連遺伝子の解析 (方法)ヒト大網から培養した血管内皮細胞(HOMEC)を血管新生因子bFGFで刺激し,ETS-1mRNAおよび蛋白の発現を確認後,ets-1アンチセンスオリゴヌクレオシドtreatmentによりbFGFにて誘導されたETS-1の発現を抑制する.これらETS-1発現細胞と発現抑制細胞のmRNA差異をdifferential display(DD)法にて検討した.ETS-1発現細胞に特異的に認められるPCR産物をクローニングし,ホモロジー検索により同定した. (結果)HOMECをbFGFで刺激するとETS-1 mRNAおよび蛋白が発現した.ets-1アンチセンスオリゴヌクレオシドによりその発現はほぼ抑制された.DDの結果,ETS-1発現細胞には非発現細胞にみられない数種類のPCR産物が認められ,クローニング後の塩基配列よりu-PA, MMP-1,さらに熱ショック蛋白gp96遺伝子と確認された.ウェスタンブロットによりbFGFで刺激したHOMECではこれら蛋白の産生増強が確認された. (結語)血管新生因子bFGFは血管内皮細胞に対し転写因子ETS-1を介してu-PAやMMPなど血管新生関連分子を産生誘導することが示唆された.同様に誘導されたストレス蛋白gp96の血管内皮細胞における意義,とくに血管新生との関連については今後の課題である.
|