研究分担者 |
飯笹 俊彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10272303)
斎藤 幸雄 千葉大学, 医学部・付属病院, 講師 (60261905)
藤澤 武彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80110328)
関根 康雄 千葉大学, 医学部・付属病院, 助手 (70312957)
渋谷 潔 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20302565)
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研究概要 |
[目的]本研究の目的は広汎気管狭窄性病変に対する人工気管および冷凍保存気管移植による補填法を開発することにある。[方法]白色家兎を用いたMHC Class I抗原量の冷凍保存による変化の検討であるが,3羽を全身麻酔下に犠牲死させ,気管を切除してリング状の9組織片に細切し,非冷凍および冷凍気管組織片を作成した。保存条件:セルバンカー(牛血清入り)(日本全薬工業株式会社)中に浸漬し,1℃/分の速度で冷却したのち液体窒素中に保存した。保存期間:2週,4週,6週,8週,12週,18週,24過,48週の8保存期間を設定した。解凍条件:冷凍組織はすみやかに室温に戻し,PBSで洗浄し,10%FBS加DMEM,37℃で30分間インキュベーションする群と代謝が冷凍状態から回復するのに必要な時間として24時間インキュベーションする群を作製した。組織標本作製:インキュベーション終了後は10%緩衝ホルマリンにて固定しパラフィン包埋を行った。パラフィンブロックより10μmのパラフィン切片を作製し、蛍光免疫染色間接法を行った。 [結果 30分間のインキュベーション後のMHC Class I抗原量は冷凍保存期間が8週を超えると著しく低下が認められた。12週で約50%,16週で約20%に現弱し(3羽の平均),24週では完全に消失した。また,3例のうち2例は24時間インキュベーション後も16週以降は非特異反応が認められ,気管上皮の回復が得られなかった。 [考察およびまとめ] 1.3羽の白色家兎を用いた気管の冷凍保存を行って,MHC Class I抗原量の変化と気管上皮の冷凍状態からの回復の可能性について検討を行った。 2.冷凍保存は,白色家兎の気管上皮のMHC Class I抗原量の低下を惹起し,冷凍期間が8週を超えると移植された気管の生着の可能性は高まるものと思われる。 3.24時間インキュベーション後のおいても16週以降は上皮の非特異性反応のみが3例中2例に認められ,上皮の回復が得られない可能性が高い。 以上のことから,移植を目的とした気管の冷凍保存の至適期間は8週から12週と比較的かぎられている可能性が考えられ,今後動物実験による確認が必要である。
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