HLAの先祖型と考えられるHLA-Gを異種であるブタの血管内皮細胞に発現させ、ヒトNKcellに“自己"として抑制シグナルを伝達するかを探った。 1) ヒトHLA-G1-4のうち、G1およびG3さらにβ2ミクログロブリンのcDNAをヒトじゅうもう細胞よりRT-PCR法によりクローニングした。 2) これらを動物細胞発現ベクターpCAGGS(brta-actin promoter)に組み込んだ。そして、それらをブタ血管内皮細胞(MYP30)へlipid法により遺伝子導入し、ネオマイシンによって選択し、ヒトHLA-GのG1およびG3の安定形質発現細胞株を数クローン得ることに成功した。 3) 一方、 HLA分子はβ2ミクログロブリン、ぺプチド抗原とでヘテロダイマーを形成することで細胞膜上に発現することが知られている。そこで、ブタ血管内皮細胞を使った、エレクトロポレーション法による一過性形質発現実験を行った。これにより、ヒトHLA-G分子はブタβ2ミクログロブリンと相互作用してブタ血管内皮細胞膜上に発現することを、FACSスキャンを用いて明らかにした。 4) 次に、ブタ血管内皮細胞に、NKcell line(YT細胞)やヒト正常末梢血単核球を反応させて細胞障害活性をLDH assayにより測定した。これにより、ヒトNK細胞がFcレセプター等を介さずに直接的にブタ血管内皮細胞を障害することを明らかにした。 現在、NKcell lineおよびヒト正常末梢血単核球に対する抑制効果を検討している。
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