研究課題/領域番号 |
10671259
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三好 新一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00190827)
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研究分担者 |
奥村 明之進 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40252647)
尹 亨彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50283768)
南 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10240847)
武田 伸一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30236468)
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キーワード | 胸腺腫 / 重症筋無力症 / HLA-DR / MHC-classII / インターフェロン・ガンマ |
研究概要 |
本研究の目的は、胸腺腫に伴う重症筋無力症の発症機序を分子学的に解明することである。 正常胸腺あるいは胸腺腫由来の初代培養された上皮細胞上でのInterferon-γ(IFN-γ)依存性MHC分子発現をフローサイトメトリーにて評価した。上皮細胞上のMHCclassI分子の発現は正常胸腺・胸腺腫間で同レベルであったが、MHCclassII分子の発現は正常胸腺に比べて胸腺腫において有意に低レベルであった。さらに、胸腺腫の腫瘍上皮細胞上のMHCclassII分子んの発現レベルは、胸腺腫内に存在するCD4^+CD8^-subset中の成熟リンパ球であるCD3^+細胞の比率と有意の生の相関を示した。すなわち、胸腺腫内では上皮細胞上のMHCclassII分子の発現の障害が腫瘍内T細胞分化に影響を及ぼしていることが示された。次に、胸腺腫の腫瘍上皮細胞におけるIFN-γ依存性MHCclassII発現機構における障害を分子生物学的に検討した。初代培養上皮細胞由来のたんぱく質・mRNAにより検討した。gel mobility shift assayを用いてIFN-γreceptorからのシグナル伝達を相当するStat-1分子の核内への移動を検討したところ、この段階のシグナル伝達は正常胸腺と同様におこっていることが確認された。そこで、IFN-γによって発現誘導されMHCclassII分子発現を調節するCIITAの発現を定量的RT-PCR法で検討したところ、CIITAの発現は胸腺腫において正常胸腺よりも有意に低下していた。以上より、胸腺腫上皮細胞のCIITA発現の低下によるMHCclassII発現障害が、胸腺腫内T細胞分化に異常を惹起していると考えられる。すなわち、胸腺腫腫瘍細胞におけるCIITAの発現調節障害が自己反応性T細胞の出現につながる可能性が考えられる。 今後、胸腺腫と重症筋無力症の特異的な関連性を明らかにするため、腫瘍上皮細胞におけるアセチルコリン受容体の発現を検討する予定である。
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