研究課題/領域番号 |
10671262
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
前田 肇 香川医科大学, 医学部, 教授 (00075508)
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研究分担者 |
鶴原 由一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (50244025)
小江 雅弘 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00279340)
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キーワード | 意識下 / 心タンポナーデ / ショック / 腎交感神経活動 / 7-nitroindazole / 中枢神経系 / NO 合成酵素活性 |
研究概要 |
家兎15羽を用い、あらかじめ心嚢内に挿入していたtubeから加温生理的食塩水を2ml/30秒の速度で意識下に注入して心タンポナーデを作成した。同時に平均血圧(MAP)と腎交感神経活動(RNA)を測定した。15羽を2群に分け、8羽の対照群はピーナツオイルを、7羽には7-nitroindazole(7-NI)をピーナツオイルに混ぜて、心タンポナーデ開始35分前に腹腔内に注入した。対照群では心タンポナーデが進行するにつれて、RNAは218±24%増加したが、MAPは初期には一定の値を保った。さらに注入を続けるとMAPが急速に低下し始め、51±1mmHgまで低下すると共にRNAが45±6%に低下した。これに対し、7-NI群は血圧が50±2mmHgに低下してもRNAは逆に324±44%の増加を示した。一方、大脳皮質と延髄のNO合成酵素活性をarginineからcitrullineへの転換によって評価したところ、7-NIの腹腔内投与によってNO合成酵素活性は大脳皮質で48%、延髄では44%に低下していた。以上の結果から、意識下の家兎において、RNAは血圧低下を見ないレベルの心タンポナーデでは増加するが、さらに進んで血圧が低下してショック状態を呈する場合には逆に減少するという2層性の反応を示すことが判明した。このRNAの急激な減少反応が、神経のNO合成酵素の選択的阻害剤である7-NIの腹腔内投与で消失したことから、急性心タンポナーデによって引き起こされた低血圧時の急激なRNAの減少には中枢神経系のNOが何らかの形で関与していることが示唆された。
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