研究課題/領域番号 |
10671262
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
前田 肇 香川医科大学, 医学部, 教授 (00075508)
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研究分担者 |
宮本 和幸 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40325345)
小江 雅弘 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00279340)
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キーワード | 心臓性ショック / 出血性ショック / 腎交感神経活動 / 平均大動脈圧 / 圧受容器反射 / 感受性 / 心臓タンポナーデ / 迷走神経 |
研究概要 |
心臓性ショックと出血性ショックの腎交感神経活動の差違をを検討した。 麻酔下の家兎を用い、50mmHgの平均大動脈圧(MAP)を8分間持続させたときの腎交感神経活動(RNA)と圧受容器反射に及ぼす心臓性ショックと出血性ショック違いを確かめた。圧受容器反射の感受性はsodium nitroprusside投与によるMAPの下降に対するRNAの比によって測定した。心臓タンポナーデを作成すると、RNAはまず増加した後もとのlevel以下に低下した。これに対し、出血性ショックの場合はRNAがまず増加するものの、その後もとのlevelに戻った。心臓タンポナーデに際し、頚部で迷走神経を切除すると、RNAはショックにおいても切除しない場合に比べて高値を示した。心臓タンポナーデを解除すると圧受容器反射の感受性は5分後には有意に低下し、10分後には元に戻った(baseline-3.8±0.6、解除5分後-2.6±0.6*、20分後-3.5±0.7)。迷走神経切除を行うと圧受容器反射の感受性の低下は消失した(base line-3.0±0.5、解除5分後-2.5±0.5、20分後-2.7±0.6)。これに対し、出血性ショックを還血により治療しても同じ時間内では圧受容器反射の感受性の低下は認められなかった(baseline-3.8±0.8、解除5分後-3.5±0.7、20分後-3.7±0.6)。すなわち、8分間のショック状態では、心臓性ショック時には迷走神経を求心路として圧受容器反射が抑制されたが、出血性ショックでは抑制が見られなかった。心臓性ショックでは出血性ショックに比べ、迷走神経を介して交感神経活動が強く抑制され、ショック解除後でも抑制は長く続くことが明らかになった。このことは同じショックでも心臓性ショックは出血性ショックに比べて腎機能の維持に有利な条件にある。
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