・手術手技・・・実験動物として、体重2.5〜3.5kg雄のJapanese whitc rabbitを使用した。自発呼吸下に吸入麻酔薬による全身麻酔を行った。頚椎および腰椎の部分椎弓切除を行い硬膜外カテーテル電極を留置した。脊髄虚血モデルは、開腹して、腎動脈下および大動脈分岐部直上の大動脈を遮断することにより作製した。大動脈遮断時間は30分間で、同時に側副血行路となる可能性のある後腸間膜動脈も遮断した。 前回報告したように20、50、100mg/kgの濃度のdipyridamoleで脊髄保護効果が期待されたため、それらの濃度で実験を行った。 ・実験方法・・・前述した濃度によって3群に分け、虚血中に分節化した腹部大動脈内に投与した。この間、連続的に脊髄誘発電位を測定し、その波形の遅れや高さの変化で脊髄保護効果を検討した。 ・結果・・・3群とも全例対麻痺となった。また脊髄誘発電位は測定不可能であった。今回用いた保護法は、直接保護液を虚血脊髄へ投与できるため有効な方法と思われたが、実際の脊髄組織中の薬剤分布は不明である。このことを解決するためには、まずHPLCやmicrodialysis法などで脊髄組織内のdipyridamole、adenine nucleotides、purines、oxypurinesなどの分布を明らかにすることが必要であると考えられた。研究の継続が可能ならば、今後はそれらの確認を行うとともに、薬剤の血中濃度を一定に維持することが可能な静脈投与による保護効果も検討したい。
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