研究課題/領域番号 |
10671274
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 進次郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10084881)
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研究分担者 |
時津 浩輔 大阪医科大学, 医学部, 助手 (60257855)
麻田 邦夫 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (80131316)
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キーワード | 凍結保存血管 / allograft / cell viability |
研究概要 |
本研究は、凍結保存血管及び凍結保存弁に関する基礎研究として、凍結の保存期間が、保存組織のviabllityと同種移植後の抗原性の発現に及ぼす影響について明らかにし、同種臓器の保存の限界についての検討することを目的としている. 我々は凍結保存組織のcell viabilityを組織学的また機能的に定量化を試み、臓器保存の一つである凍結保存法について以下の知見を得ている. 研究材料として、Rat胸部大動脈を用いた. 1. 機能的viabilityの評価 凍結保存血管の張力発生は新鮮血管のそれに比して遜色無く、また保存期間の延長に伴う機能低下も認められず、保存期間が3ヶ月の時点でも良好な張力発生を示した. 2. 組織学的viabilityの評価 電顕的観察:中膜平滑筋細胞には、核の変形、ミトコンドリアの膨化、融解などirreversibleな傷害が認められた. 光顕的観察:蛍光物質を用いた二重染色により細胞の生死判定を行い、血管の凍結により傷害を受ける部位および障害の程度を定量化した.内皮細胞は内弾性板より剥離脱落し、傷害された中膜平滑筋細胞は内膜側に偏在していた.凍結保存操作により障害される細胞の割合は全細胞の約20%程度であり、保存期間の延長に伴う細胞障害の高度化はみられなかった.凍結保存操作による保存組織のcell viabilityの低下は軽微で、液体窒素気化層保存により良好に保たれ、長期保存が可能であることが示唆された. 3. 今後の研究の展開に関する計画 (1) 1.2.については6ヶ月保存、1年保存について同様に検討を行う予定. 同種移植モデルを用い、 (2) allograft抗原性提示能力の評価 (3) 移植後血管内皮細胞の再生とその由来についての検討 を行う予定.
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