研究課題/領域番号 |
10671279
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 達也 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20108715)
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研究分担者 |
澤村 淳 旭川医科大学, 医学部, 助手 (00241448)
橋詰 清隆 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00250580)
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キーワード | experimental epilepsy / multiple cortical focus / Wistar rat / kaimic acid |
研究概要 |
一側大脳感覚・運動領野にてんかん焦点を持つ慢性ラット焦点てんかんモデルに脳梁離断術を行ない、その後autoradiography法にて糖代謝の変化を検討し、てんかんの外科的治療に関する基礎的研究を行った。Wistar系ラット14匹を用い、Nembutal麻酔下に定位脳手術を行い、一側感覚運動領野の皮質内にカニューラを刺入した。術後1週間経過してからハロセン麻酔下に、一側大腿動静脈にカニュレーションしてから腰部以下をギプス固定した。カニューラ内に注入針を挿入し、カイニン酸を5microgramを注入し焦点発作を誘発した。発作波が認められ、皮質焦点が十分に成熟した注入後2時間目に、Nembutal軽麻酔を行い、手術用顕微鏡下にコントロール群の7匹には開頭のみを、残りの7匹は開頭後に脳梁離断術を行った。術後2時間目に14C-deoxyglucoseを100mCi静注し、autoradiogramを作成した。<結果>すべてのラットに、発作重積が誘発された。離断グループは脳梁離断術直後から、発作が少し軽減され弱くなってきた。autoradiogramでは、全脳梁が離断されて、対側大脳皮質への発作が消失した。しかし、両側大脳基底核と視床には発作が残っていることを確認した。<考察および結論>一側感覚運動領野にてんかん焦点を作成した。脳梁離断直後から、コントロール群に比べて発作が軽くなったことより、脳梁は左右の脳皮質てんかん焦点の同期化に重要な働きを持っていることが明らかになった。しかし、脳の局所脳糖代謝では、皮質下諸核には両側性に発作が残存していることを明らかにした。この事実は、臨床においての脳梁離断術では左右皮質の発作波の同期化のみが改善されることを示しており、離断後も、各半球に発作は残存することが考えられる。 以上の結果を踏まえて、平成12年度は、ラットの両側多焦点モデルで、脳梁離断術の代謝を検討し本研究を完成する予定である。
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