脳内出血後のラット脳では、反応性のミクログリアの出現を中脳黒質に認めた。同時にドーパミン産生神経細胞の数の減少も認められ、順行性・逆行性の遅発性の神経変性が起きていることが組織学的に示された。これらの変化は、脳内出血の大きさに比例する傾向にあった。 コラーゲンミクロスフェアを用いて、回転培養下でヒト血管内皮細胞をスフェアに付着させ、これを脳内出血モデルラットに移植した。ミクロスフェアと細胞との最適比及び培養条件を決定した。血腫腔中心部では壊死損傷が強く、生着は認められなかったが、辺縁部において、宿主脳内へ遊走をする移植細胞を認めた。従って、脳内出血による脳損傷後にex vivo遺伝子導入が可能であると共に、血管新生を介して宿主内の血行再建にもプラスに働くと、期待される結果が示された。 コラーゲンミクロスフェアのみの脳内移植した実験では、免疫抑制を加えても、経時的にミクロスフェアは吸収される傾向にあり、また免疫抑制剤なしの環境では免疫拒否反応は僅かであった。 コラーゲンミクロスフェアを用いて、繊維芽細胞・肝細胞等を一度に大量に培養可能なことが実験的に報告されているが、血管内皮細胞の培養の報告はこれまでにない。今回の研究で、細胞数の効果的な増殖のみならず、移植に際しての基質としても有用であることが示された。
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