1.脳内出血モデルについては、片側線条体collagenase注入によるラットモデルを作成し、再現性が高く、出血後の回転運動を評価することによりin vivoでの治療効果判定が可能なモデルであること、また出血後長期に放置されると組織学的に大脳基底核に二次的な退行変性をきたすことなどを発表した。 2.上記モデルに対しての通常のラット胎児神経細胞移植をパイロットスタディとして行ったが、血腫腔中という厳しい環境下では、移植された細胞は生着しなかった。 3.コラーゲンミクロスフェアを用いて、回転培養下でヒト血管内皮細胞をスフェアに付着させ、これを脳内出血モデルラットに移植した。血腫腔中心部では壊死損傷が強く、生着は認められなかったが、辺縁部において、宿主脳内へ遊走をする移植細胞を認めた。 4.凍結した神経幹細胞は虚血損傷が加わった脳組織中でも生着しうることを細胞保存液をもちいた実験で組織学的に示した。 5.別の脳損傷モデルとして、幼若脳の低酸素・脳虚血モデルを用い、虚血耐性能の獲得にはプレコンディショニングとして熱負荷、虚血負荷が有効であることを示し、さらにこの機序にはこれまで言われてきたような熱ショックプロテインが関与しないことを示した。 6.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞は異所性にヌードマウスの脳内に移植された時に、脳本来の血管内皮でないにも関わらず、血液脳関門を形成することを組織学的に示した。
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