研究課題/領域番号 |
10671302
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 恭裕 岡山大学, 医学部, 助手 (40294409)
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研究分担者 |
田宮 隆 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (50252953)
松本 健五 岡山大学, 医学部, 助教授 (10190521)
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キーワード | brain tumor / gene therapy / adenovirus vector / cytosine deaminase / 5-fluorocytosine |
研究概要 |
昨年度までに、CAGプロモーターを用いたアデノウイルスベクターの遺伝子導入の有効性と、この遺伝子導入法を用いた悪性脳腫瘍に対する5-fluorocytosine(5-FC)/cytosine deaminase(CD)遺伝子療法の有効性、問題点を検討してきた。今年度は、この遺伝子治療をより優れた方法とするために、CD遺伝子とUrtacil phosphoribosyltransferase(UPRT)遺伝子の2つを用いた薬剤感受性遺伝子治療を検討した。UPRT遺伝子を腫瘍細胞に導入すると、5-FUからFUMPの代謝が亢進し、より強力な抗腫瘍効果が発揮される。UPRT遺伝子を持ったアデノウイルスベクター(AdexCA-UPRT)を用い、9L細胞で検討した。まず、in vitroでCDとUPRT遺伝子を同時に腫瘍細胞に導入し、それら遺伝子が発現し十分作用していることが確認した。5-FCに対する感受性は、CDとUPRTの両方の遺伝子導入の場合、コントロールに比べ、約3000倍に増加し、またCD遺伝子単独導入よりも感受性の増加が認められた。また、このシステムに強いbystander effectがあることが認められた。in vivoでは、ラット9L脳腫瘍モデルを用いて、AdexCA-CD、AdexCA-UPRT及び5-FC投与を行い、長期生存の検討、ならびにMRIによる腫瘍サイズの計測を行い、治療群の長期生存と腫瘍の縮小が認められた。これらの結果より、悪性脳腫瘍に対し、5-FC/CD+UPRT遺伝子治療は非常に有用と考えられた。
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