研究概要 |
クモ膜下出血後の脳血管攣縮における細胞死の変化をTUNEL法を用いて、また、平滑筋細胞変性に対するCaspase系、μ-calpain活性の関与を検討し、細胞内Ca^<2+>流入との関連を調べた。クモ膜下出血モデルには2回大槽内自家血注入デモルを用い、Ca^<2+>の流入を阻害したNicardipine前投与群(自家血 0.8mg/kgを大槽内に注入する1時間前にNicardipine 1.0mg(3ml)を大槽内に注入した群)と対照して生食前投与群(対照として自家血 0.8mg/kgを大槽内に注入する1週間前に生食3mlを投与した群)を作製した。1.μ-calpain活性;Nicardipine前投与群では,初回クモ膜下出血後有意なμ-calpain活性は認められなかった。一方,生食前投与群では4日目以降有意な持続的な活性化を認めた。2.CPP32活性;Nicardipine前投与群では,初回クモ膜下出血後2,4および7日目は有意なCPP32活性は認められなかった。一方,生食前投与群では2日目には有意な活性化を認めなかったが,4日目以降有意な活性化を認めた。3.TUNEL染色;Nicardipine前投与群では,初回クモ膜下出血後7日目に,TUNEL陽性細胞を認めなかった。一方,生食前投与群では多数のTUNEL陽性細胞を認めた。以上より、クモ膜下出血後生じる遅発性脳血管攣縮の平滑筋細胞障害,細胞死にクモ膜下出血直後の平滑筋細胞内への大量のCa^<2+>流入によって生じるCPP32とμ-calpainの活性化が関与している可能性が示唆された。
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