生埋学的パラメーター まず、遺伝子操作をおこなった動物群でも、コントロール群と同様な生理学的パラメーターを有するか否か、検討した。PAF受容体のknockout(KO)マウス(ホモとへテロ)およびそれらに対するwild-type(WT)マウスを用いて、ハロセン麻酔で脳虚血モデル作成と同じ条件下で生理学的パラメーターを測定した。その結果、体温、側頭筋温、血液ガス、血糖値、動脈圧において、ホモ群、ヘテロ群のKOの2群とへWT群とのあいだに有為な差は認められなかった。 脳梗塞体積 PAF受容体のKOマウス(ホモとへテロ)およびWTマウスを用いて、小泉らの方法に準じて総頚動脈から、6-0 monofilament nylon糸を11-12mm挿入し、24時間生存させた後に断頭した。脳を取り出し、厚さ2mmの脳切片5枚をTTCにて染色し、直接スキャナーにてコンピューターに各切片の画像を取り込み、各面での梗塞面積を測定後、積分することにより脳梗塞体積を計算した。現在までのところnが不十分でpreliminaryな結果であるが、ホモ群、ヘテロ群、およびWT群のあいだに有為な梗塞体積の差を認めていない。この結果は、PAFが脳虚血再潅流障害に関与するという仮説に否定的なデータであるが、さらにnを増やし統計的処理をおこなって総論を出したい。さらに、次年度には各群における脳虚血深度を比較するため、脳血流を測定する予定である。
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