研究概要 |
予備的な検討から、イヌ脳底動脈をpermeabilizationするためには、30分β-Escin(3x10-5M)が、至適条件であることが予想できた。C1,2の位置にアラキドン酸(A)、バルミチン酸(P)のついた過酸化DAG(PAG-OOH:palmitoyl-arachidonyl DAG-hydroperoxide 5x10-5M)をもちいて、β-Escin(3x10-5Mで30分)にてpermeabilization化した血管の発生張力をみると、OAG(1-oleoyl-2-acetyl-sn-glycerol:5x10-5M),native l,2-DAG(5x10-5M)にくらべてあきらかに収縮能力の強いことが認められた。さらに、以下の3つの条件下でPAG-OOH(5x10-5M)による各種PKCのsubtypeの分布の変化を調べた。コンディション1は、血管内膜および外膜の可及的除去した後に、β-Escinにてpermeabilization化した犬脳底動脈をpCa=5.5の条件下でPAG-OOH(5x10-5M)で3時間インキュベートした結果を、コンディション2は、コンディション 1からβ-Escinによる処理をしていない脳底動脈をpCa=5.5の条件下でPAG-OOH(5x10-5M)で3時間インキュベートした結果を、コンディション3は、無処置の正常脳底動脈をKrebs溶液中でPAG-OOH(5x10-5M)で3時間インキュベート後、抗PKCα,ζ,ε抗体でWestern blotを行った。typeζに関しては、これら3者で有意な差を認めなかった。しかしながら、permeabilization化した血管を過酸化DAGで3時間インキュベート場合(コンディション1)PKC α,εが強くdown-regulationされています。この結果は、実際の攣縮血管のDay4,7の結果に極めて類似していた。すなわち、PAG-OOHをはじめとする過酸化DAGは、細胞内に存在することでPKC--にα,そしてCa-independentなε--を協力に活性化することが示唆された。
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