1、【目的】虚血に対する低体温の神経保護作用についてin vitro神経細胞傷害モデルを用いて検討した。 2、【方法】(1)ラット海馬初代培養細胞を無血清培養液を用いて樹立した。培養開始後7日の神経細胞に代謝阻害剤iodoacetate(IAA)を種々の濃度(1.0、2.0、3.0mM)で5分間(37℃)負荷した。IAA負荷終了後、無血清培養液内で24時間培養(37℃)を継続し生存細胞数を算定した。培養液の低温化による神経細胞保護作用についてはIAA負荷後の30分間を30℃とし生存細胞数を算定し検討した。(2)IAA負荷後3時間で培養神経細胞にdichlorofluorescein diacetate(DCFH-DA)を取り込ませ535nm波長下でこれらの細胞の蛍光像を撮影した。 3、【結果】(1)37℃でIAAを培養神経細胞に5分間作用させると24時間後にはIAAの濃度依存性に細胞死の発現をみた。しかしIAA負荷終了後の30分間を30℃にすると細胞死の発現は有意に抑制された。(2)培養細胞内のdichlorofluorescein(DCF)はIAA負荷終了後3時間で検出された。一方、IAA負荷終了後の30分間を30℃にすると細胞内DCFの検出は不良となり培養液の低温化はhydroperoxideの生成を抑制するものと思われた。 4、【結論】低温による神経保護作用はhydroperoxideが関与するoxidative stressを抑制する点にその作用機序があるものと思われた。
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