研究課題/領域番号 |
10671333
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
中野 敦久 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70258151)
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研究分担者 |
池本 秀康 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30278824)
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キーワード | アポトーシス / ミトコンドリア / プロテアソーム阻害剤 / ヒト・グリオーマ / カスペースファミリー / Bcl-2ファミリー |
研究概要 |
1. プロテアソーム阻害剤処理によりグリオーマ細胞株にアポトーシスが誘導される。 2. このアポトーシスはp53蛋白質が変異型で正常に機能していなくても、誘導される。つまり、p53蛋白質非依存性である可能性が示された。 3. p53蛋白質による転写活性を受けるp21蛋白質、p27蛋白質が、p53蛋白質が変異型で正常に機能していなくても蛋白レベルで増加し、細胞周期の停止を伴って、アポトーシスが誘導された。この事は、上記2.を支持すると共に、p21蛋白質、p27蛋白質が、ユビキチン/プロテアソーム系によって分解制御されている可能性を示している。現在、免疫沈降法を用いて両蛋白質のユビキチン化を証明する実験を進行中である。 4. p21蛋白質、p27蛋白質とは逆に細胞周期回転を促進するC-Myc蛋白質も蛋白レベルで増加しており、このユビキチン化を証明する免疫沈降法を用いた実験も進行中である。 5. アポトーシス抑制・促進に働くBcl-2ファミリー蛋白質の発現量に変化はなく、Bcl-2ファミリーによるコントロールを受けない新たなアポトーシスの存在が示された。 6. アポトーシス進行過程において、チトクロームCのミトコンドリアから細胞質への放出が起こらず、ミトコンドリアの内膜機能の低下も起こらない。つまり、アポトーシス実行シグナルは、ミトコンドリアを介さないことが示された。 7. 複数のCaspaseの活性化がイムノブロットや蛍光基質を用いた活性測定の実験で証明された。この事から、アポトーシス実行シグナルがミトコンドリアを介さないにも関わらず、Caspaseの活性化が起こりアポトーシスが誘導されるという、新たなアポトーシス・シグナル経路の存在が示された。
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