研究課題/領域番号 |
10671334
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
浦崎 永一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (20203599)
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研究分担者 |
辻 貞俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30117171)
赤松 直樹 産業医科大学, 医学部, 助手 (10299612)
和田 伸一 産業医科大学, 医学部, 助教授 (30094056)
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キーワード | 難治性てんかん / 硬膜下電極 / 体性感覚野 / 可塑性 / 体性感覚誘発電位 / 可逆的虚血 / surronding inhibition / partial saturation |
研究概要 |
難治性てんかん患者に対し焦点切除前に埋め込んだ慢性硬膜下電極が手指の体性麺覚野に設置可能であった症例に対し、体性感覚野の可塑性について実験を行ない若干の知見が得られた。1 体性感覚野近傍に設置された左硬膜下電極の電気刺激により、右側の第1指、前腕、上腕、および下肢に感覚が生じる部位、ならびに上腕と手に運動が誘発される部位が含まれていることを確認し、それらの部位で右第5指の電気刺激による体性感覚誘発電位(V-SEP)を記録しcontrolとした。 2 次に右第1指に輪ゴムを巻いて虚血状態とし、V-SEPの経時変化を観察すると、刺激後20msecより後方の成分に変化が認められたがその程度は僅かなものであった。 3 右第1指虚血前に輪ゴムを同部位に接触させるだけでV-SEPの振幅は変化し、これはsurrounding Inhibition現象を硬膜下電極記録で捕らえたものと解釈された。 4 右第1指虚血中、虚血解除中に右第5指電気刺激単独と電気刺激と接触刺激の両者を加えた場合を比較すると明らかにSEP波形は変化し、これはpartial saturation現象に関連すると考えられた。 第1指に可逆的虚血状態を誘発することで、第1指の大脳皮質体性感覚野に変化が生じ、第5指の電気刺激に応答する大脳皮質の領域に変化が生じる可能性はあるが、その変化は予想よりもかなり小さいものであった。この実験系での脳のplasticityはsurrounding inhibitionやpartial saturation現象よりもさらに微小な変化である可能性が示唆された。今後症例数を増やして詳細に検討する予定である。またsurrounding inhibitionとpartial saturation現象とplasticityの連関についても検討予定である。
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