研究課題/領域番号 |
10671336
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山中 正紀 北海道大学, 医療技術短期大学部, 講師 (40166757)
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研究分担者 |
和田 龍彦 北海道大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90002112)
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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キーワード | ACL再建術 / 生体力学的特性 / 動的(繰り返し)荷重 / 繰り返し引っ張り試験 |
研究概要 |
(1)前十字靭帯再建手技5種類のうち4種類について本研究の目的を平成11年度において終了しており、今年度は残り1種類の再建手技について動的(繰り返し)荷重が、その生体力学的特性に与える効果とその差異を明らかにした。実験には前年度までと同様に豚の膝関節、深指屈筋腱を採取し(n=10)、深指屈筋腱の両端を軟部組織用interference screwにて大腿骨と脛骨に固定する手技を用いて、再建膝モデル(n=10)を作成した。 (2)前年度までと同様の計測システムを用い、10膝のうち5膝に対し引っ張り試験を行い、最大荷重、破断合成、破断伸びを求めた。 (3)残り5膝に対し、前年度と同様に2mmの動的(繰り返し)荷重(12cycle/分)を5000回与え、大腿骨-移植腱-脛骨複合体の荷重・変形挙動を経時的に記録し、解析した。 (4)各標本について動的(繰り返し)荷重を与えた後、前年度と同様の引っ張り試験を行い、生体力学的特性を測定した。 (5)繰り返し引っ張り試験では前年度までに行った4種類の手技と同様に極大値および極小値ともに1000回で有意に減少し、それ以後はほぼ一定であった。膝蓋腱を用いた群より極大値、極小値も有意に低値であった。 (6)静的引っ張り破断試験では他の手技と同様に動的荷重により初期スティフネスが有意に低下し、線形スティフネスおよび破壊荷重は動的荷重の有意な効果を認めなかった。初期スティフネスでは膝蓋腱をinterference screwにて固定した群以外とは有意な差はなかった。破壊荷重は膝屈筋腱を糸で固定した群と有意な差はなかったがもっとも低値を示した。以上の結果から前年度までに明らかにした動的荷重によりFGT複合体の動的応答張力は経時的に変化し、その変化の程度は移植材料と固定器具の組み合わせにより大きく異なること、および5000回の2mmの動的荷重はFGT複合体の強度を低下させないことをあらためて示した。
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