研究概要 |
ラット骨肉腫細胞の肺転移抑制実験のための予備研究として以下の実験を行った。これらの成果をふまえ本実験を遂行する予定である。 1. 担癌マウス作製、病理組織学的検討 樹立した骨外ユーイング肉腫株をヌードマウスに移植し病理学的検討を行った。移植腫瘍は原発腫瘍に類似していた。ビメンチン、neuron-specific enolase,サイトケラチンが陽性であった。 2. 血管系マーカーによる血管内皮細胞の観察 グロームス腫瘍に対しFactor VIII、CD34を用いて免疫組織学的検討を行った。 両者とも腫瘍内血管内皮に陽性であった。CD34は腫瘍細胞も陽性になることが分かった。1と2の成果はThe third combined meeting of orthopaedic research societies of U.S.A.,Canada,Europe and Japan 1998で羽鳥が報告した。 3. MMPについての基礎実験 マトリックス分解酵素は癌細胞の浸潤転移の際に重要な機能を営んでいる。本実験系の技術的基礎検討として、以下の検討を人体材料でおこなった。ヒト炎症性腸疾患を材料に各物質(MMP-1,MMP-2,MMP-8,MMP-9,TIMP-1,TIMP-2)の発現パターンを検討した。 (1) プローブ作製 MMP-1,MMP-2, I型プロコラーゲンのcDNAから定法にしたがい試験管内転写法でセンス、アンチセンス双方のcRNAを合成した。 (2) in situハイブリダイゼーション MMP-1,MMP-2, I型プロコラーゲンについて実施した。潰瘍底の周囲に形成される肉芽組織部位にMMP-2, I型プロコラーゲンがつよくみとめられた。 以上、本年度において、形態解析の技術的検討をおこない、手技的にも、解析方法的にも安定したものであることを確認した。又共同研究者の大谷は腫瘍組織におけるMMPの知見につきPathology Internationalへ報告した。
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