研究分担者 |
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
五嶋 孝博 東京大学, 医学部・附属病院・分院, 講師 (20272544)
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
荒井 勲 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
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研究概要 |
分化したPC12細胞からNGFを除去することで誘導されるアポトーシスに対して以下の遺伝子導入の効果を検討した。Ras-MEK-ERK経路の活性化、不活化のため各々恒常活性型MEK、dominant negative Ras、PI3 kinase-Akt経路の活性化、不活化のため各々myristoylated Akt、dominant negative p85遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクター(各々CA-MEK virus,DN-Ras virus,myr-Akt virus,DN-p85 virus;東京大学第三内科 片桐秀樹博士より供与)を用いた。各遺伝子導入による蛋白発現はWestern blottingにより確認した。NGF除去後24時間でのアポトーシス細胞数の比率はコントロールでは28.5+/-10.5%であったのに対しCA-MEK virus、myr-Akt virus感染細胞では各々5.2+/-3.7%,9.2+/-7.9%であり、CA-MEK、myr-Aktの遺伝子導入はアポトーシス抑制効果があった。一方、DN-Ras virus、DN-85 virus感染細胞ではアポトーシス細胞の比率が28.0+/-6.4%,37.0+/-16.0%であり、DN-p85の遺伝子導入はアポトーシスを促進した。 神経突起伸長に対する効果は各ウィルスを未分化PC12細胞に感染後24時間、48時間で細胞体直径の1.5倍以上の突起を有する細胞数を計測し判定した。CA-MEK virusを10moi以上で感染させると24時間でほぼ100%の細胞で有意な突起伸長を示した。その他のウィルス感染では突起伸長は全くみられなかった。 以上よりアデノウィルスベクターによるCA-MEK遺伝子の強制発現はPC12細胞においてアポトーシス抑制、神経突起伸長効果があることが分かった。各種の神経細胞にも同様の効果を持つことが期待される。
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