研究課題/領域番号 |
10671347
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川西 誠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80313138)
|
研究分担者 |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
福田 明 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (90302695)
平岡 久忠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262007)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
|
キーワード | アデノウィルスベクター / 断裂靭帯修復 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
昨年度までに家兎を用いた靭帯損傷モデルにおいて、アデノウィルスにより局所に比較的効率よく遺伝子発現させることが可能であることが明らかになったため、本年度はヒアルロン酸合成酵素をコードしたアデノウィルスを局所に感染させ、靭帯修復能を検討した。また得られた知見を臨床応用可能なものとすべく新しい靭帯修復術を考案し有用性を確かめた。さらに、将来再建靭帯と骨との固着改善にもこの手法を応用すべく靭帯再建の動物モデルを作製し、以前より強い骨形成作用の報告されている成長因子であるFGF-2の局所投与がその固着を改善することが可能かを検討した。結果として、(1)ヒアルロン酸合成酵素遺伝子をコードしたアデノウィルスでは明らかな修復組織の改善は認められなかった。(2)新しい前十字靭帯修復術を行った16例中13例を術後約1年の時点で、従来の保存療法を行った11例と比較したところ有意に膝安定性が得られていた。このことを日本整形外科学会学術集会他で発表し、論文発表も行った。(3)ゼラチンゲルを担体として局所投与されたFGF-2は、術後3週の早期に移植腱と骨孔との固着を、コントロール群と比べ有意に改善した。このことは日本整形外科学会基礎学術集会と米国整形外科基礎学会で発表し、現在論文作成中である。 以上の結果から、靭帯損傷モデルにおいて局所にアデノウィルスベクターを用いて生理活性物質を投与することが可能であり、それは靭帯修復のみならず、靭帯と骨との固着にも応用可能であることがわかった。また本法は臨床的にも応用は可能であることが示された。
|