研究概要 |
1, scaffoldの作製:β-リン酸三カルシウム/ポリ乳酸共重合体複合体(CPLA)film、atelocollagen membraneで長さ17mm直径2mmのtubeを作製した。また、ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体(HAp/col)で3mm×3mm×15mmの四角柱を作製し、直経2mm、長さ15mmのトンネルを穿った。これらから人工神経のscaffoldとして最適な素相を決定するため以下の実験を行った。 Wistar rat(体重200g)の右坐骨神経に前述の素材を用いて長さ15mmの架橋移植を行った。移植後8週で移植部中央から試料を採取し、エポン包埋後光顕と電顕で観察した。CPLA tubeは厚い外壁が扁平化し、再生軸索が少なかった。Collagen tubeは外壁が吸収されつつあったが神経再生に必要なspaceは確保され、良好な神経再生が観塵された。HAp/col tubeは外壁がもろくて随所でtubeの断裂をきたし、神経再生は極めて不良だった。以上の結果より、人工神経の素材としてatelocollagen membraneで作製したtubeを選択した。 2, 神経栄養因子の効果判定:運動神経再生に特異的に働くと考えられる鶏除神経筋由来新規神経伸長活性タンパク質(F460)のin vivoにおける効果を以下の実験により検割した。SD rat(体重200g)の右坐骨神経に直径2mmのsilicone tubeを用いて長さ15mmの架橋移植を行った。Tube内には濃度0,1,10,100μg/mlのF460をtype I collagenに混入して注入し移植した。術後8週まで毎週歩行分析(sciatic functiornal index:SF1)を行うと同時に、経頭蓋的に大脳を刺激して腓腹筋より運動誘発電位(TCS-cMAP)を記録した。移植後8週で運動神経伝導速度(MCV)を記録後、tube移植部と腓腹筋筋枝を採取して光顕および霊顕で神経再生形態を観察するとともに、光顕写真で再生軸索の直経、密度、面積占有率(% axon area)を計測した。これらのdataを現在解析中である。 3, TCS-cMAPによる運動神経再生評価の確立:Wistar rat(体重200g)の右坐骨神経を杉田クリップで5分間crushし、術後6週まで毎週TCS-cMAPとSFIを計測した。術後6週でMCVを計測後脛骨神経より試料を採取し、光顕標本で再生軸索の直径と% axon areaを計測した。TCS-cMAPはSFI、MCV、再生軸索の直径% axon areaの測定結果と良く相関し、再現性のある優れた運動神経再生評価である。
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