研究概要 |
1,rat坐骨神経を用いた新たな神経再生評価法として、我々の行っている経頭蓋刺激末梢筋誘発電位測定(tran scranial stimulation compound muscle action potential : TCS-CMAP)をsciatic function index(SFI)と併用することにより、さらに精度の高いrat下肢運動機能評価法を確立した。2,rat坐骨神経のsilicone tube移植モデルを用い、除神経筋由来神経伸長因子の神経再生に及ぼす影響を組織学的に評価した。Muscle Derived Protein 77 (MDP77)は再生軸索の発芽を促進させるが、Neurocrescinは再生軸索の発芽と成熟を濃度依存的に促進させる作用を併せ持つことが示唆された。 3,生体吸収材料を素材とした神経架橋用scaffoldの開発 : 実験1.β TCP/CPLA film、type I collagen (Col)膜、HAp/Col複合体でtubeを作製した。また、Col,CPLA fiberを5本挿入したsilicone tubeを作製した(S-tube+Col、S-tube+CPLA)これらを用いてWistar ratの坐骨神経に15mmの架橋移植を行った。移植後8週で試料を採取し、組織学的観察を行った。この結果、tubeの素材にCol膜を用い、col fiberを挿入した神経架橋用scaffoldが人工神経として有望であることが示唆された。 実験2.Col filmとGTR用collagen膜でtubeを作製し、Col fiber 8本を挿入した。また、Col film 5枚をGTR-tubeに挿入した。これらを用いてWistar ratの坐骨神経に15mmの架橋移植を行った。長さ15mmのisograftを対照とした。移植後8週で採取し組織学的観察を行った。この結果、(1)神経欠損部架橋移植用tubeの素材としてCol film、GTR膜ともに有用であること、(2)Col fiberを挿入したこれらのtubeは神経架橋用scaffoldとして臨床応用可能であることが示された。
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