研究概要 |
目的:急性脊髄損傷における組織内での誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の経時的変化と存在部位をRT-PCRと免疫染色で検討した上で損傷時のapoptosisとの関連を調べる。 方法:雄性Sprauge-Dawleyラット(8週令、260〜300g)を用いpentbarbital sodium麻酔後Th8で椎弓切除しweight drop technique(10g×10cm)で急性不全損傷モデル作製。損傷後6時間〜2週間生存後、脊髄損傷部の凍結標本作製しrabbit polyclonal anti-rat iNOS antibodyで蛍光染色し切片あたり陽性細胞数をTUNEL法とあわせて数えた。又ED-1,ED-2,OX-42、NSE、GFAPとの二重染色も行った。一方損傷脊髄からtotal RNA抽出しRT-PCRを行いiNOS mRNAの経時的変化を調べた。又脊髄損傷だけのラットと損傷後NOS inhibitorであるL-NAMEを投与したラットの切片あたりTUNEL陽性細胞数を比較。 結果:免疫染色でiNOS陽性細胞は損傷後6時間には出現し周辺部の血管周囲から灰白質にかけて散在。iNOS陽性細胞とTUNEL陽性細胞は近傍に存在。iNOS、TUNELとも陽性細胞数は損傷後12〜24時間でピークに達し3日以降減少。iNOS陽性細胞はED-2陽性細胞と重なった。RT-PCRでは損傷部で12〜24時間でiNOS mRNAは上昇。L-NAME投与ラットではTUNEL陽性細胞数は約6割に減少。 考察:iNOS陽性細胞は血管周囲にもみられED-2に染まったことからmacrophageであると考えられた。iNOS陽性細胞及びTUNEL陽性細胞の出現が経時的にも空間的にも平行しており又L-NAME投与によりTUNEL陽性細胞が減少したことからiNOS由来のNOがapoptosisに関与していることが推察された。
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