研究概要 |
1)慢性関節リウマチと性ホルモン関連遺伝子 慢性関節リウマチ(RA)における遺伝要因および性ホルモンの関与より、RA患者の性ホルモン関連遺伝子の遺伝子多型について調べた。エストロゲン受容体遺伝子型は女性RA患者の発症年齢と関連していた(Ushiyama,1999)。アンドロゲン受容体遺伝子のCAG反復はそのtransactivationの機能と関連しているが、この反復数は若年で発症する男性RA患者で少なかった(Kawasaki,1999)。また、エストロゲンやアンドロゲンの合成酵素であるCYP17遺伝子には上流に遺伝子多型があり、転写機能を介して最終的に血清性ホルモン濃度に影響を与える。CYP17遺伝子のA2アレルは老年発症のRAを抑制した(Huang,1999)。 2)強直性脊椎炎とアンドロゲン受容体遺伝子のCAG反復 強直性脊椎炎には性差があるが、男性強直性脊椎炎患者においてアンドロゲン受容体遺伝子のCAG反復数は有意に少なかった(Mori,in press)。 3)変形性関節症における性ホルモンの関与と遺伝要因 変形性関節症のサブタイブである全身性骨関節症にエストロゲン受容体遺伝子多型が関与することは既に明らかにしているが(Ushiyama,1998)、今回ヒト関節軟骨細胞にエストロゲン受容体αとβの両者が発現していること、すなわちエストロゲンが関節軟骨細胞に直接作用することを明らかにした(Ushiyama,1999)。 一方、海外ではビタミンD受容体遺伝子多型が変形性膝関節症に関連していると報告されている。これについて日本人で追試を行なった。その結果、日本人においては手指、股関節、膝関節あるいは多関節羅患の変形性関節症とビタミンD受容体遺伝子多型との関連は認めなかった(Huang,in press)。
|