研究概要 |
本研究は,臨床的にすでに多く経験され良好な治療成績が得られでいる仮骨延長法につき,延長中の骨形成,牽引メカニカルストレスが骨形成に及ぼす影響の機序を,分子レベルで解明するために行った. ラット大腿骨に延長器を装着し骨幹部で骨切りし,術後7日間の待機期間をおいた後に 0.25mm/12hの速度で延長を行う.延長開始後21日(約1cm延長)で延長を停止する.その後,延長中に形成された軟骨が骨に置換され骨癒合が完成する.その経過を通じて,軟骨細胞が産生する細胞外マトリックスのうちの主要な構成成分である II型コラーゲン遺伝子の発現と,骨芽細胞が産生する細胞外マトリックスの I型コラーゲン遺伝子の発現,さらにオステオポンチン,オステオカルシン,マトリックスグラプロテイン,オステオネクチンの遺伝子発現を, in situhybridization法を用いて解析した. その結果,軟骨から骨に置換される過程において,軟骨コラーゲンである II型コラーゲンと,骨のコラーゲンでうあるI型コラーゲンの両方の遺伝子発現を同時に行っている細胞かあることがわかり,このことは,軟骨がら類軟骨を経て骨へと連続して形成されるという,類軟骨性骨化(trans-chondoroid bone formation)が行われているという概念を生み出した.この類軟骨性骨化は,従来骨形成の過程で示されてきた内軟骨性骨化と膜性骨化についで,新しい第3の骨化様式として理解されるべきものであり,現在さらにこの新しい概念と,仮骨延長術における骨形成のメカニズムを解明するために,肥大軟骨,破骨細胞の機能について解析を行っている.
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