研究概要 |
我々はラット大腿骨の延長モデルを使用して仮骨延長術における骨形成メカニズムを観察してきた。本研究においては延長仮骨における骨形成因子(BMP)の遺伝子発現をin situ hybridizationおよびnorthern blot analysisにて観察し興味深い実験結果を得た。 生後11週の雌ラット(体重約400g)の大腿骨を骨切りし小型創外固定器で固定した。術後7日目より毎日0.5mmづつ牽引すると骨切り部には仮骨が形成さけ続ける。延長初期には内軟骨性骨化が、延長後期には膜性骨化が中心に見られ、その過程において第3の骨形成のメカニズムとも呼ぶべき類軟骨性骨化がみられることが分かっている。 BMP-2およびBMP-4は骨切り後4日目の幼若な仮骨に一過性に発現を認めたが術後7日目までに一旦消失した。術後7日目より延長を開始するとBMP-2およびBMP-4遺伝子の発現は劇的に上昇した。発現誘導は骨芽細胞や軟骨細胞だけでなく線維芽細胞様の紡錐形の細胞にも幅広く認められた。延長を停止するとBMP-2,BMP-4の発現は速やかに消失した。これらの結果はBMP-2,BMP-4遺伝子の発現は牽引メカニカルストレスにより誘導されることを示唆している。BMP-2およびBMP-4遺伝子のpromotor領域にはtension-stress responding elementが存在することが推測される。
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