研究概要 |
UG3は急性骨髄性白血病患者より得た白血病細胞を単クローン化することにより株化に成功したヒト単球系細胞株であり、IL-3、GM-CSFなどのサイトカインに依存して増殖し、M-CSFの存在下でマクロファージに分化する特徴を持つ。また、M-CSFとIL-4の存在下でTRAP染色陽性の多核細胞に分化したことからヒト破骨細胞の分化モデルとしての期待が持たれ研究を開始し、研究費交付期間中に以下のような成果を得た。 第1にM-CSFおよびIL-4の存在下で形成される破骨細胞様細胞はTRAP染色陽性多核細胞という破骨細胞の形質を備えているが、骨基質吸収能を待たず(ハイドロキシアパタイト吸収能は持つ)、カルシトニンレセプターの発現も認められないことが判明した。そこで破骨細砲の形成には間質細胞の支持が必要とする従来の報告に基づき、マウス間質細胞株であるMC3T3-PA6(PA6)をM-CSFおよびIL-4の存在下で形成されたTRAP染色陽性多核細胞に添加したところ骨吸収能が認められるようになり、破骨細胞としての機能を発揮するようになった。 第2に1,25(OH)_2D_3が単球系細胞の細胞融合を促進するとの報告があることに着目し、M-CSFおよびIL-4に1,25(OH)_2D_3を加えると、TRAP染色陽性多核細胞の形成率が高まることが判明し、効率よく破骨細胞を形成することが可能となった。 さらに実験を重ねていくうちに1,25(OH)_2D_3およびデキサメサゾンの存在下でマウス間質細胞株ST2と共存培養すると最も短期間に効率よく骨吸収能を持つ破骨細胞様細胞が形成されることが判明し、この系を用いて各種骨粗鬆症治療薬を添加する実験系を確立することができた。 これらの成果は学会、論文等に発表した。
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