今回、骨折部に各種の刺激を与え、刺激の種類びその刺激力を測定することにより、骨癒合に関する刺激の功罪に関し研究した。 1.方法 1)骨折作製。実験動物として成熟家兎を使用した。麻酔下で左脛、腓骨を中央部で糸鋸で切り、骨折を作製した。骨折後の骨変換の転位を最小限にするため、鋼線にて創外固定を施した。家兎を横臥位に固定台に固定した。 2)力学実験方法。6軸力荷重センサーから刺激の種類は、(1)圧縮刺激(0〜5N)(2)曲げ刺激(0.02rad)(3)ねじり刺激(0.02rad)とし、1日あたり1時間の刺激を与えた。(刺激群)。対照は、刺激を与えず観察した(対照群)。期間は6週間までとし、骨癒合の測定は骨折部の剛性度で判定した。 3)X線学的検索。各刺激群および対照群を最終の6週でX線撮影を行った。 4)病理組織学的検索。各刺激群および対照群を6週でHE染色、サフラニン0染色を行った。 2.結果 1)力学試験結果。無刺激(対照群)では、4週では骨折前とほぼ同程度の力学的強度を有するようになった。圧縮刺激でも対照群とほぼ同様の治癒傾向を示した。一方、曲げ、ねじり刺激では、観察期間中剛性の増加は認めなかった。 2)X線学的結果。6週では、対照群では骨折線は消失し、骨癒合を得ていた。圧縮刺激では、対照群より多量の仮骨形成をして骨癒合を得た。曲げ刺激で骨折部の骨折線が残存し、完全な骨癒合は得られなかった。ねじり刺激では、骨膜性仮骨は存在するが骨の連続性は断たれていた。 3)病理組織所見。曲げ刺激、ねじり刺激を与えた群は、いずれも骨膜性仮骨の形成を認めるも骨折線は残存していた。また、骨折部周辺には軟骨細胞が存在していた。
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