平成10年度は運動器、特に筋肉組織における虚血後再潅流障害におけるischemic preconditioning(IPC)の効果を調べる前段階として、虚血筋モデルの開発とIPCを加えないcontrol群におけるsuperoxide(O_2^-)とnitric oxide(NO)の再潅流後の経時的変化を調べる実験を中心に行った。 家兔の大腿直筋を用いた虚血筋モデルを作成し、同筋肉に4時間の虚血を加えた後に、再潅流静脈血中のO_2^-とNO、および筋肉の血流量を経時的に測定した。血流量測定により本実験モデルでほぼ完全な虚血筋が作成されることが確認された。O_2^-は5分、5分、60分、90分、120分後に有意に増加し、またNOは15分、30分に増加していた。 以上の実験を踏まえて、平成11年度は実際に筋肉組織における虚血後再潅流障害におけるischemic preconditioningの効果を調べ、IPCによりO_2^-やNOがどのように影響を受けるか検討したい。また、出来ればIPC効果に寄与しうる他の原因追求もあわせて行いたい。
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