研究課題/領域番号 |
10671382
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
千葉 一裕 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80179952)
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研究分担者 |
今林 英明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40296629)
辻 崇 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60296639)
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キーワード | 椎間板 / 髄核 / 線維輪 / 細胞培養 / 細胞外基質(マトリックス) / プロテオグリカン / コラーゲン / サイトカイン |
研究概要 |
昨年度はアルジネートを用いた3次元懸架細胞培養法により培養した椎間板細胞の細胞外基質代謝の詳細な解析と、基質の代謝回転率に及ぼすインターロイキン-1の影響を中心に検討した。本年度はインターロイキン-1による変化と加齢性の変化を比較検討するため、幼若、思春期そして成熟期の週齢の異なる家兎の髄核・線維輪細胞をこの系で培養し、加齢による細胞の代謝活性の違いを細胞周囲基質ならびに細胞領域間基質の2つの分画にわけて解析した。その結果、幼弱家兎は思春期家兎に比して髄核、線維輪細胞ともにDNA合成が盛んなことはもちろん、プロテオグリカンの合成能が高いことが判明した。一方でプロテオグリカンの代謝回転率はむしろ低くなっていることも判明した。一方、成熟家兎ではプロテオグリカン合成能は思春期のものとさほどの差異はないものの、代謝回転率が有意に高く、すなわちプロテオグリカンの分解が亢進していることが示された。こうした変化は髄核、線維輪細胞ともに、細胞膜に近接する細胞周囲基質において著明であった。今回の加齢による変化はIL-1による細胞周囲分画を主とした基質分解亢進と類似したものであり、IL-1を含めた何らかのサイトカインが椎間板の加齢現象ひいては変性に関連している可能性が示唆された。現在、椎間固定術が隣接椎間の椎間板細胞の代謝活性に与える影響につき解析中である。また今後は、骨形成因子、特にBMP-7(OP-1)が基質分解亢進を抑制しうるかを中心にさらに詳細に検討する予定である。
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