研究概要 |
予備実験の結果、絞扼の強くない大きなwindow(5mm)モデルでは初期の障害は著しいものの、早期に回復が得られていた。一方、絞扼の強い小さなwindow(1mm)では、初期の障害は軽度であるものの、長期間継続し12週の観察でも、神経周膜・神経線維の修復は得られていないことが判明した。予備実験と同様の方法で、Wister系Ratを使用し、ネンブタール麻酔下に脛骨神経を展開し、1mmおよび5mm径のperineurialwindowを作製した。Sham operationをcontrolとした。これまで以下の実験1から3までを施行した。 実験1:障害モデルの機能的評価。各群10例とcontro15例について、術後12週まで毎週TFI(tibial functional index)を計測し歩容状態の回復経過を観察した。 実験2:神経線維および神経周膜の肉眼的観察・組織学的評価。Perineurial window作製後1,4,8,12週の時点で、創を展開しperineurial windowの状態を肉眼的に観察した後、屠殺し、神経を採取して組織学的観察を行った。エポン包埋で、横断切片をトルイジンブルー染色し、光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡(HU-12AS)にて神経線維の変性、再生および神経周膜の再生過程を観察した。各群20例とcontrol12例に対して行った。 実験3:神経周膜のbarrier機能の評価。神経周膜のbarrier機能を観察するため、各群1,4,8,12週の時点で、創を展開し神経周囲にEvans blue albumin(EBA)を2cc浸潤させた。2時間後神経を採取し、10μmの凍結縦断切片を作製し、蛍光顕微鏡で透過性を観察した。各群20例とcontrol12例に対し、神経周膜のbarrier機能の回復過程を評価した。
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