平成11年度は以下の実験4を行い、こらまでの研究成果を総括した。 平成10年度の実験1から3の結果、1mm径の小さなperineurial windowでは、初期の障害は比較的軽度なものの、長時間障害が持続することが判明した。今年度は以下の実験を行った。 実験4:Perineurial windowの自然経過と治療についての研究。障害の長時間持続する1mm径のperineurial windowについてさらに24週までの長時間の観察を行い、自然治癒が生じるか否かを検討した。また1mm径のperineurial window作製2週後に局所を再度展開し、各種治療を行い、それぞれの群に対しさらに4週後・8週後に神経を採取し、組織学的検索を行った。perineurial windowに対する治療は、A)そのまま創を閉鎖する。B)perineurial windowの末梢・中枢の神経周膜を大きく切開し、小さなwindowを大きなwindowに変換する。C)ヘルニア部分を押し込むようにして神経周膜を縫合、windowを閉鎖する。の3種類について検討した。各治療群とも5例ずつに対して、TFI(tibial functional index)による機能評価、EBAによる神経周膜の透過性の評価などを平行して行った。 これら一連の研究によりperineurial windowはそのサイズにより病態が異なることが明らかとなった。小さなwindowのほうが長時間障害が持続することから、perineurial windowの病態には神経周膜の損害による神経内恒常性破錠より、絞扼が強く関与していると考えられた。
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