予備実験と同様の方法で、Wister系Ratを使用し、ネンブタール麻酔下に脛骨神経を展開し、1mmおよび5mm径のperineurial window(神経周膜窓)を作製した。Sham operationを行ったものをcontrolとした。 平成10年度は、実験1:障害モデルの機能的評価。実験2:神経線維および神経周膜の肉眼的観察・組織学的評価。実験3:神経周膜のbarrier機能の評価を行い、これらの結果は、平成11年7月のPeripheral Nerve Society annual meeting(San Dicgo USA)、8月の日本末梢神経研究会(東京)などで報告した。 平成11年度は実験4として、perineurial windowの自然経過と治療についての研究をおこなった。 これら一連の研究によりperineurial windowはそのサイズにより病態が異なることが明らかとなった。小さなwindow(1mm大)では、初期の障害程度は軽いものの、ヘルニア腫瘤の突出は著明で、歩行分析および組織学的にも長期間障害が持続し、12週経過しても神経周膜のbarrier functionも回復しなかった。また24週経過しても組織学的変化は残存しており、自然治癒しない可能性が示唆された。本研究からperineurial windowの病態には神経周膜の損傷による神経内恒常性破綻より、絞扼が強く関与していると考えられた。
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