骨膜凍結条件を決定した。凍結保護剤にはヒト胚の培養に用いられるIVFAH25培養液に0.2Mトレハロース、抗生物質(ホスミシン、10μg/ml)、12%ジメチルフォキシド(DMSO)および50%(V/V)鶏卵黄を添加したものを用いた。受精18日鶏胚の大腿骨より採取した5mm^2大の骨膜を直接凍結保護剤1.0mlを含む凍結バックに入れ、シールした後エタノールを冷媒としたプログラムフリーザーを用い、室温/-7℃(2.0℃/分)、-2.0℃/-40℃(1.0℃/分)で凍結し、その後直ちに液体窒素に浸漬して-196℃とし、凍結保存した。融解は微温湯中で行い、培養液で洗浄した。融解骨膜を受精9日鶏卵より作製した漿尿膜培地に移植して10日間培養し、ソフテックスを用いてX線撮影を行い、骨形成の有無を確認した。 凍結保護剤の添加、除去方法の検討した結果、凍結保護剤に骨膜を直接添加し、融解後は培養液で直接洗浄することとした。3. DMSO不含凍結保護剤を用いた場合は新生骨形成を認めず、凍結保存に際してDMSOが必須であることを認めた。一方、卵黄不含凍結保護剤では新生骨形成は著しく低く、骨膜の凍結に際してはDMSOとともに卵黄が重要な意義を有することを見いだした。さらに精製卵黄レシチンを卵黄の代わりに添加しても、卵黄の場合と同様な保護効果を認めた。 ミトコンドリア酸化還元能を指標として凍結融解に伴う細胞障害を解析した結果、10%アラマブルーを含むウシ血清アルブミン加PRMI1640培養液を用いて骨膜細胞のミトコンドリア酸化還元能を測定した結果、融解後においても酸化還元能を保持していることを認めた。 透過型電子顕微鏡を用いて細胞像を観察した結果、組織表層の細胞は小器官の膨化等の変性像を認めたが、深層部では細胞膜、小器官の形態が保持されていた。上述した細胞酸化還元能の結果とともに、組織の一部が機能を保持したまま凍結保存できたと考えられる。
|