骨組織は常に骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収を行っており(骨リモデリング)、そのバランスの不均衡は種々の弊害をもたらす。本研究では、骨芽細胞膜の裏打ち構造(膜骨格)に焦点をあて、構成タンパク質、遺伝子の解析と骨リモデリングにおける役割の解明を試みる。初年度(平成10年度)は、主に(1)骨芽細胞培養系の確立と細胞膜の調製、(2)骨芽細胞膜裏打ち構造蛋白質の同定とmRNAの検索、(3)それらの細胞内局在の検討、を行った。 (1) 骨芽細胞(MC3T3-El)を培養し、ポリトロン処理後、遠心分離法により細胞膜画分を調製した。 (2) 骨芽細胞膜蛋白質について、SDS-PAGEおよび種々の赤血球膜骨格蛋白質(4.1蛋白質、アンキリン、スペクトリンなど)と膜貫通蛋白質(CD44など)に対する抗体を用いたイムノブロットにより解析した結果、骨芽細胞膜に4.1蛋白質とCD44の類似蛋白質の存在を認めた。 (3) 骨芽細胞より抽出したmRNAをもとにRT-PCRにより調製したcDNAの分析から4.1蛋白質の類似蛋白質の存在を遺伝子レベルでも確認した。 (4) 培養骨芽細胞を免疫染色し、光学顕微鏡で観察し、これらの蛋白質が細胞膜に局在することを確認した。 次年度以降は、これら骨芽細胞膜骨格蛋白質の機能について、刺激分泌連関における寄与、細胞間及び細胞基質間接着への関与について検討を行う予定である。
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