研究概要 |
骨組織は常に骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収を行っており(骨リモデリング)、そのバランスの不均衡は種々の弊害をもたらす。このリモデリングは種々の全身性因子、骨で産生・分泌される局所性因子、さらに細胞間及び細胞一基質問接着によって調節されている。この分泌、接着には細胞膜を裏打ちする膜骨格の寄与が予想されるが、その存在そのものが明らかではない。 本研究では、まず初年度(平成10年度)に培養マウス骨芽細胞(MC3T3-E1)を用いてSDS-PAGEおよび膜骨格蛋白質(4.1蛋白質など)と膜貫通蛋白質(CD44)に対する抗体を用いたイムノブロットにより解析した結果,マウス細胞膜に4.1蛋白質とCD44の類似蛋白質の存在を認めた。また,抽出mRNAをもとにRT-PCRにより調製したcDNAの分析から4.1蛋白質とCD44の存在を造伝子レベルでも確認し、培養マウス骨芽細胞の免疫染色により細胞質および細胞膜に分布する事を確認した。これらの経験に基づき、平成11年度では、最近培養可能となったヒト正常骨芽細胞(CryoNHOst)を用いて、4.1蛋白質とCD44を心に蛋白質分析,遺伝子の発現および細胞内分布について検討し、同様の結果を得た。 以上の結果から、マウスおよびヒト骨芽細胞に赤血球漢と同様の膜骨格蛋白質が存庄することが示され、骨芽細胞の機能(分泌、接着)に関与する可能性が示唆された。
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