研究概要 |
American College of Rheumatologyの診断基準を満たす慢性関節リウマチ(RA)患者79人の関節滑膜を対象とした。診療記録より血清中リュウマトイド因子、RA発症年令、使用した疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)、関節外症状の合併数、初回手術までの罹患年数をしらべた。 RA滑膜をヘマトキシリン染色の所見により、Diffuse synovitis(D群),Aggregate synovitis(AGG群),Follicular synovitis(F群)の三群に分類した。その内訳はD群69例、A群17例、F群17例である。今回の結果ではErosionの有無、DMARDsの数、関節外症状の数など、罹患年数が作用を及ぼし得る項目ではF群とAGG群では明らかな差は観察されなかった。しかし、興味深いことに、リウマトイド因子とHLA-DRB1対立遺伝子型は両群間で有意に異なっていた。この結果は、抗原認識に於いて、HLA-DRB1対立遺伝子型が重要な役割を果たしている事実の裏づけとなっていると考えられる。また、AGG群に比べて、F群では有意に罹患早期に関節手術を受けていた。この結果は、両群間の疾患重症度の違いを直接示していると考えられる。 以上の様に、Aggregate synovitisを呈するRA患者に比べて、Follicular synovitisを認めるRA患者の方が、臨床的にも重症度が高い傾向にあり、また、遺伝学的にも異なる可能性が示唆された。
|