研究概要 |
本研究者は、脊髄において各種疼痛刺激により一酸化窒素合成酵素が誘導されことを発表したが、これらの酵素が一酸化窒素を明らかに放出しているという明確な根拠を得ることはできなかった。そこで、本年度は、微量な一酸化窒素を直接的に測定できる装置(平成10年度購入済み)を用い脊髄における一酸化窒素産生の状態を観察した。本研究は、疼痛、温熱等の各種刺激による一酸化窒素産生状態を観察し、刺激の種類とその程度と産生量を定量的に評価することを目的とした。 一酸化窒素測定装置(インターメディカル社NO-501)を用いて脊髄内一酸化窒素の基礎的産生量を測定した。 1.ラット24匹をペントバルビタールを腹腔内投与し麻酔下に脊髄を露出し、硬膜内に一酸化窒素特異性微小電極を挿入し一酸化窒素電極測定装置を用いて電極法により一酸化窒素濃度を測定した。これをベースとして、各種刺激を加えた。 1.ラット下肢に疼痛刺激を加えたモデルを作成した。 2.ラット下肢に温熱刺激を加えた温熱刺激モデルを作成した。 3.ラット下肢にドライアイスを用いた冷却刺激モデルを作成した。 上記各モデルに対し、電極法で脊髄から放出する一酸化窒素濃度を測定した。 結果:ベースに対し、1、両下肢、尾のピンチによる刺激で98-127pmの上昇がみられ一酸化窒素産生を観察できた。この反応は一酸化窒素合成酵素阻害薬であるL-NAME投与で抑制された。2,3,の刺激による温熱、冷却モデルでは反応は観察されなかった。
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