平成10年度は、実験用心臓カテーテル室の手配、循環器内科への研究補助依頼、実験道具の準備に時間が費やされてしまった。 また、予算の制約、動物実験施設の制約のため、2カ月のブタ飼育には困難が伴う。そのため、PTCA直後の急性内皮障害モデル(ブタ)を使用した実験を行うこととした。測定項目は全く同じである。 実質的実験 2匹のミニブタを使用した。全身麻酔下にて、冠動脈造影用カテーテルを透視下に左冠動脈口に挿入した。これを通して、フォガティーバルーンカテーテルを左前下降枝に挿入した。バルーンを膨らませて左前下降枝を完全閉塞し、引き戻す操作を数回繰り返すことにより、左前下降枝近位部の内膜剥奪を行った。その後、左前下降枝をコントロールとして、アセチルコリンで左前下降枝のスパスム誘発試験を行った。同時に、冠動脈造影にて、正常部と異常部の血管径の変化を検討した。 バルーンの膨らませる度合いや、引き戻す操作の頻度・強さが弱かったためか、正常部と異常部の血管径には、顕著な差が見られなかった。今後、実験道具等の準備が完全に整い次第、種々の圧測定、心拍出量測定、ScsO_2の測定、乳酸・プロタノイドや一酸化窒素・セロトニンの測定も同時に行う予定である。また、不活性ガスを使用した冠動脈血流測定も行う予定である。
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