アデノシン前投与はreperfusion injuryを予防し、虚血時の臓器保護に有効である。心臓に対する虚血時保護作用も報告されているが、心停止を起こした心臓に対して有効か否かについては、蘇生率は変わりなしの報告がある。 【目的】心停止をおこした心臓に対する保護作用は期待できるかを調べるために、ラビットをコントロール群(C群)とアデノシン群(A群)とに分け、蘇生可能率、心拍出量・動脈血圧等の循環動態、心電図、血液ガス、乳酸値を比較した。 【方法】3kg前後のラビットをレラキシンとケタラール筋注で麻酔導入し、耳周辺静脈に24G針挿入、耳中心動脈に22G針で動脈ラインを確保した。動脈圧および心電図をモニターしつつ自発呼吸下にて気管切開・挿管後、FiO_2=0.5にてPaCO_2が35mmHgとなるよう調節呼吸とした。麻酔は酸素、空気、イソフルラン(1%)で維持し、筋弛緩にはベクロニウムを用いた。 胸骨正中切開し、上行大動脈に電磁血流計を装着し心拍出量を連続測定した。左心耳より左房カテ、左室心尖部よりMillarのカテを挿入し、循環動態の安定を待ってbaseline測定とした。A群:アデノシン50mg/kgをシリンジポンプにて30分間で静注 C群:等量の生食を30分間で静注の2群において、投与終了直後に細動器にて心停止状態を2分間作成した。細動器off後、30秒で自脈が自然回復しない場合は除細動を行った。除細動後30分間baselineの60%以上の血圧を保った症例を蘇生例とした。 【測定項目】連続心拍出量、連続血圧、心拍数、LAP、LVP、dP/dT、心電図、食道温、動脈血ガス、電解質、乳酸値。 【結果】30分後の蘇生例はC群で9羽中2羽、A群で10羽中7羽であり、アデノシン前投与により蘇生率が有意に上昇した。
|