研究概要 |
過換気は中枢神経系で興奮性アミノ酸濃度を増加させるが,このような過換気の神経細胞活動への効果についての報告はみられなかった.過換気下に,神経細胞活動を調査することによって,ラットの脊髄後角におけるNMDA受容体の役割を調査した.[方法]雄のSprague-Dawleyラットをハロタンで麻酔した.気管切開に引き続いて,動物を機械的に換気したカテーテルを静脈と動脈に挿入した後,椎弓切除術を行ない,脊髄を横断した.動物をstereotaxicフレームの上に固定した.手術の後に,軽いレベルの麻酔を維持した. 細胞外微小電極法により一つの細胞の活動電位を記録し,スパイク発射頻度を測定した.WDR細胞はmodalityと脊髄表面からの深さによって識別した.4つの実験について測定を行なった:1.拮抗性NMDA受容体阻害薬,2-amino-5-phosphonovaleric acid(AP5)0.16μmolを脊髄に作用させ,自発発射数及び誘発発射数の記録を行った.2.過換気下の発射数変化についての実験を行った.過換気下に発射数を測定し,そして60分後に正常換気に戻した. 3.前処置の影響についてAP5を脊髄に投与した.AP5投与に対する反応を記録した.その後,呼吸の回数と一回換気量を増やすことによって,過換気の効果を調査し,発射数を記録した.4.後処置の影響についてまず,過換気とし,その50分後にAP5を投与し,そしてAP5の影響の時間経過を調べた.[結果]低用量のAP5はWDR細胞活動に影響を与えなかった.過換気は脊髄後角神経細胞活動を抑制した. 過換気の後の,低用量AP5の投与は過換気の抑制を有意に増強した.[結論]我々の結果は,それによって神経細胞活動に対する過換気の抑制効果を増強して,過換気下にNMDA受容体が作動していることを示唆している.
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