研究課題/領域番号 |
10671406
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤原 直士 新潟大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70181419)
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研究分担者 |
渡邊 逸平 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00251819)
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 講師 (80188284)
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キーワード | 大脳皮質 / 海馬 / 膜電位感受性色素 / 膜電位画像 / 神経細胞興奮 / 脳虚血 / スプレディングデプレション |
研究概要 |
本年度は以下の検索を中心に研究を進めた。 1. ラットおよびスナネズミの大脳皮質(Bregmaより6〜7mm後方の頭頂近傍領域)および海馬の冠状切片(厚さ400μm)を膜電位依存性色素で染色し、電気刺激により誘発される神経興奮の伝搬を画像化した。いずれの動物からの切片も、興奮の拡がりの様子は類似しており、大脳皮質では(協)層への刺激により、線維走向に沿ってその直上のII層が興奮し、ついで、その興奮が周辺に伝搬した。海馬CA1領域では放射層への刺激により、線維走向に沿って放射層が興奮するとともに、錘体細胞層および起始層に興奮が伝搬するが、膜電位に依存性する光学特性変化は錘体細胞層では他の2つの層に比べて小さかった。 2. スナネズミ前脳虚血モデル(総頸動脈両側結紮)にて、4分間の一過性脳虚血を負荷し、18〜20時間後に海馬切片標本を作製し、膜電位依存性色素を用いて、それら海馬CA1領域における神経興奮の伝播を膜電位画像により観察したところ、放射層刺激による興奮の拡がりは放射層内に強く、しかも、非虚血動物に比較して長時間興奮が持続したものの、錐体細胞層を越える伝搬は極めて減弱した。同一動物の対側海馬の組織検索ではCA1錘体細胞の脱落はみとめられなかったが、機能的にはこの時期にすでに錘体細胞の障害が発生していることが示唆された。 3. ラット頭頂部の一側に高カリウム刺激によるスプレディングデプレション(SD)を誘発し、1日後に、同側および対側(対照)の大脳皮質冠状切片を膜電位感受性色素で染色し、(協)層刺激による興奮伝搬の様子を比較したところ、両側の興奮伝搬の様子には著明な差異が認められなかった。SD後には皮質神経細胞に虚血剛性が生ずることが知られているが、この虚血耐性と神経興奮伝搬の程度には関連のないことが示唆された。
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