研究概要 |
培養細胞を用いた研究 ラットの肺胞上皮TypeII細胞の初代培養をおこなった。それを用いて麻酔薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬の増殖に対する影響を見たところリドカイン、ケタミン、ミダゾラムは何ら効果を示さなかった。一方、ロリプラムは肺胞上皮TypeII細胞に対する増殖作用を持つことが分かった。また肺胞上皮TypeII細胞はhepatocyte growth factor及びkeratinocyte growth factorなどの増殖因子により著明に増殖した。この増殖に対して上記の麻酔薬は影響しなかったがロリプラムは増殖因子の増殖作用を促進した。現在、サーファクタント関連蛋白(SP-A,SP一B,SP-C.)の産生に対する影響を検討中である。 動物を用いた研究 ラットを用いて、急性呼吸窮迫症候群モデルとなる、エンドトキシンの腹腔内投与による肺障害を作製し、経時的に肺組織を取り出し肺胞上皮、気道上皮における炎症性メディエーターであるtumornecrosis factor-alpha(TNF-alpha)や誘導型一酸化窒素(iNOS)の発現を免疫組織染色およびウェスタンブロットにより評価したところiNOSは3時間から発現し6〜12時間でピークとなり24時間後には発現は低下していた。TNF11phaの発現は3〜6時間でピークとなった。とくに血管内皮、気道上皮、肺胞上皮(TypeII細胞)、肺胞マクロファージが強染した。現在、他の炎症性メデイエーター(GRO/CINC,MIP,MCP,ニトロタイロシンなど)の発現を検討中である。
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